Articles for 7月 2013

Windows8ストアアプリのサイドローディング

こんにちは。アスカクリエイション 石原です。

本日はWindows8ストアアプリのサイドローディングについて書きたいと思います。

ストアアプリでは基本的にストアからダウンロードしインストールする仕様となっており、従来のデスクトップアプリのように直接実行ファイルをコピーしセットアップすることができず、入手経路が制限されています。ストアアプリはMicrosoftで審査を経て掲載されるので品質の低いアプリや悪意あるアプリが混入しづらい点や、ユーザーがWeb上に点在するアプリを見つけ出さなくても、ストアで検索することで目的のアプリを入手することができるという面や、開発者にとっても自分のアプリを発信する場として、また、アップデートや収益、ユーザーからのレスポンスを管理できるという面で便利です。が、反面デメリットもあります。

社内システム等の限られた環境向けのアプリの場合、ストアに掲載したくないでしょうし掲載しても関係のないユーザーにはまったく無意味なアプリとなってしまいます。また、セキュリティ面で好ましくない場合もあるでしょう。

そのようなニーズの為にサイドローディングという手段があります。サイドローディングの手法を使うことでストア経由ではなくアプリのパッケージファイルを手動でインストールすることが出来ます。

しかし、サイドローディングが行えるシステム要件はかなり厳しいものとなっており一般ユーザーや中小企業が導入するには敷居の高い感が否めません。要件を以下に記載します。

 
・Windows8 Enterpriseで、グループポリシーで”信頼できるすべてのアプリのインストールを許可する”が有効になっているアクティブディレクトリドメインに参加していること。

・Windows8 Enterpriseでアクティブディレクトリドメインに参加していない環境ではサイドローディングプロダクトキーを購入し導入していること。

・Windows8 Pro、 RTではアクティブディレクトリドメインに参加しているかに関わらずサイドローディングプロダクトキーを購入し導入していること。

表にすると以下のようになります。

Windows 8 Windows RT Windows 8 Pro Windows 8 Enterprise
ドメイン環境 非サポート 非サポート サイドローディングプロダクトキー グループポリシーで許可
非ドメイン環境 非サポート サイドローディングプロダクトキー サイドローディングプロダクトキー サイドローディングプロダクトキー

 

無印のWindows8ではサイドローディングは出来きません。また、サイドローディングプロダクトキーは一般ユーザーが個別に購入するこは出来ず、Microsoftとボリュームライセンス契約を結んでいなければ購入出来ません。Microsoftに問い合わせてみたところボリュームライセンス契約にはいくつかの形態がありますが、サイドローディングプロダクトキーが入手できる契約には最低57万7千円かかるそうです。Windows8 Enterpriseも一般販売されていませんから、いずれにしても企業でMicrosoftと契約を結ぶ必要があり、一般ユーザーや小規模オフィスで気軽に導入できるものではないようです。

通常運用で使用する場合は上記のような要件が必要ですが、実は開発者ライセンスというものがあり、Visual Studio 2012 for Windows8等をインストールすると取得できます。開発者ライセンスは一定期間で期限が切れ、更新する必要がありますが、一時的にサイドローディングが可能になります。開発中のアプリをローカル環境で動作確認、デバッグするための配慮と思われます。

 

開発者ライセンスを取得した環境で手動サイドローディングを試してみたので手順を紹介します。

Step1. アプリの作成時にサイドローディング用のパッケージを作成する必要があります。 Visual Studioで「ストア」メニューから「パッケージの作成」ウィザードにて「Windowsストアにアップロードするパッケージを作成しますか?」で「いいえ」を選択。

sideloading_package

 

Step2. ルート証明書をインストールする必要があります。(実運用では信頼できる署名をアプリにバインドしておくべきで、本来この手順は不要のはずです)作成したパッケージフォルダ内(AppPackages)の.cerファイルを右クリックし「証明書のインストール」を選択。ウィザードにて「保存場所」→「ローカルコンピュータ」(「現在のユーザー」ではサイドローディングに失敗した)を選択。「次へ」をクリック「証明書をすべての次のストアに配置する」で「参照」をクリック「信頼されたルート証明書機関」を選択「次へ」をクリック。→完了。

sideloading_cer

sideloading_cer2

 

Step3. 現在のユーザーのアプリとしてインストールするにはPowerShellを起動し以下のコマンドを実行します。

> import-module appx
> add-appxpackage "アプリのパス\アプリ名.appx"

 

もしくは、全ユーザー向けにプリインストールされているアプリのようにシステムイメージにインストールすることも出来ます。その場合はまず、ファイル名を指定して実行からgpedit.mscと入力しローカルグループポリシーエディタを起動し、「コンピュータの構成」→「管理者用テンプレート」→「Windowsコンポーネント」→「アプリパッケージの展開」→「信頼できるすべてのアプリのインストールを許可する」を「未構成」から「有効」に変更します。

gpedit1

PowerShellからgpupdateコマンドを実行し設定を反映させた後、PowerShellを管理者権限で起動し以下のコマンドを実行します。

> DISM /Online /Add-ProvisionedAppxPackage /PackagePath:"アプリのパス\アプリ名.appx" /skiplicense

 

手順は以上です。上記手順ではコマンドを打つ必要がありますがMicrosoftのWindows IntuneSystem Center 2012 Configuration Manager SP1という製品を使うとGUIでサイドローディング環境を構築できるようです。

 

Share

Windows 8.1 Previewを試す

皆さん。ご無沙汰しております。アスカクリエイションの石原です。

このところプロジェクトが忙しくて、なかなか記事を書く時間が取れませんでしたが、ようやく落ち着いてきたので久々に書こうと思います。

さて、今回はWindows8ネタで書こうと思います。先日、Windows BlueことWindows8.1のプレビュー版が公開されました。早速インストールして使ってみた中で、目立った変更点を紹介していきたいと思います。

Windows8.1プレビュー版は下記URLから入手できます。

http://windows.microsoft.com/ja-jp/windows-8/preview-download

なお、今回ISOイメージをダウンロードしVMWare上にインストールしてみましたが、インストール手順は従来のWindows8と大きな変更点もなくスムーズに完了しました。

 

まず、Windows8.1の前評判として期待されていたデスクトップのスタートメニューの復活ですが、Windows7以前のスタートメニューを期待していた方には期待外れかもしれません。

win8.1_desktopたしかに新Windowsロゴマークのアイコンがタスクバーの左下に追加されていますが、これは単にタイルのスタート画面への切り替えでした。

現在のWindows8ではアイコンは表示されていませんが、デスクトップの左下の隅にマウスカーソルを持っていくとタイルのスタート画面への切り替えとなっていたものが、アイコンとして明示的に表示されるようになったにすぎません。

なお、左下の隅で右クリックすると表示されるコンテクストメニューに若干の追加がありました。

win8.1_desktop_startPowerShellとシャットダウンメニューが追加されました。現在の8ではシャットダウンはチャームから設定で行うので、少しわかり辛かったのが多少楽になるかもしれません。

その他、エクスプローラのリボンがデフォルト最小化になっていました。

win8_explorer

 

スタート画面です。

win8.1_startスタート画面は魚があしらわれています。これは恐らくベタでしょうか。Windows7のベータ版でも壁紙にベタの画像が使用されていました。ちなみにベタの泡が時間の経過によって動きます。

スタート画面での変更点でまず、目につくのは左下の矢印アイコンの追加です。これをクリックすると以下のようにインストールされているアプリの一覧表示になります。

以前のスタート画面からチャームの検索の表示と同様のものですが、確かに、Windows8を使い始めたころはメモ帳や電卓、ペイントなどのデスクトップアプリを探すのに戸惑った経験があります。地味ですが気の利いた改善だと言えます。

 

win8.1_app

 

なお、スタート画面でチャームから検索すると、すべての場所の検索、つまりPCのファイルやアプリやストアとWeb(bing)での検索結果の表示という動作に変更されたようです。

win8.1_search

 

また、タイルの固まりにグループ名をつけられるようになりました。

win8.1_group

 

さらに、目立った点としてタイルサイズがこれまで標準とワイドのみでしたが、新たに小と大が加わり4段階になりました。これはアプリ開発時の対応が必要になってきそうですね。

start_tile

 

その他、特筆すべき点としてスナップの動作が変更されました。

win8.1_snap従来のスナップでは横幅320ピクセル固定だったのが、自由な割合でスナップできるようになっていました。

これはアプリ開発のスナップ時のレイアウトに影響しそうですね。ちなみにスナップは従来1366×768以上の画面解像度が必要でしたがこの制限は取り払われたようです。

また、従来はスナップ時のメインとサブが明確だったため、スナップ中に新たにアプリを起動するとメイン側が入れ替わるのに対し、領域が自由に分割可能になりメインかサブか明確では無くなったためか、新たにアプリを立ち上げると左右のどちらに表示するかを選択する画面になります。

win8.1_snap2

駆け足で目立った変更点を紹介しましたが、他にもストアの表示が変更されたりと細かな改善が見られます。正式リリースで仕様が変更される可能性もありますが、一ユーザーとしてリリースが楽しみです。開発者としてはタイルやスナップの仕様変更によって考慮しなければならない点が増えそうです。

今回は以上です。

Share